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身体の悩み

朝どうしても起きられない|学生の起立性調節障害のサインと受診目安

朝 起きれない

最終更新日: 2026年7月15日

「目覚ましは鳴ってる。なのに、体が鉛みたいで動かない」

「夜は元気なのに、朝だけダメな自分っておかしいのかな」

「また遅刻した。きっとまた怠けてるって怒られる」

朝どうしても起きられないのは、起立性調節障害(OD)という、自律神経の調節がうまくいかなくなる体の病気かもしれません。これは、あなたの怠けでも、だらしないからでもありません。

このページでは、なぜ朝起きられないのか、起立性調節障害とはどんな状態か、どんなサインがあるのか、何科を受診すればいいのか、そして今日からできる生活の工夫や、家族・学校への伝え方を、いっしょに整理していきます。

「自分はダメな人間なのかも」と責めてきたかもしれませんが、まず知ってほしいのは、朝起きられないことには体のしくみが関わっていて、あなたのせいではないということです。

朝起きられない中学生に多い起立性調節障害

朝、目覚ましが鳴っても起きられない。立ち上がると目の前が暗くなる。午前中はずっと頭が重くて体がだるい。こうした症状の背景には、起立性調節障害という体の病気があることがあります。これは、立ち上がったときに血圧や心拍数を調整する自律神経の働きに不調が起き、頭痛・めまい・倦怠感などの症状が出る病気です(日本小児心身医学会)。

ふだん、私たちが横になった姿勢から立ち上がると、重力で血液が下半身に下がろうとします。このとき自律神経がすばやく働いて血管をしめ、心臓のはたらきを強めることで、脳に届く血液の量が保たれるしくみです。ところが起立性調節障害では、この切り替えがうまくいかず、立ったときに脳へ行く血流が一時的に足りなくなってしまいます。その結果として立ちくらみ・めまい・だるさといった症状が起きやすくなる、というわけです。

とくには、夜の休息モードから日中の活動モードへ自律神経が切り替わるタイミングです。起立性調節障害があると、この朝の切り替えがうまく進まず、体が活動できる状態になるまでに時間がかかります。だから「夜は元気なのに、朝だけ起きられない」という、一見ふしぎな状態が起こります。これは気持ちのゆるみではなく、体のしくみによる変化です。

もう少しくわしく言うと、横になっている朝の体は、まだ血圧が低めで、脳に十分な血液が届きにくい状態です。健康なときは、目が覚めて起き上がると同時に自律神経がすばやく働いて血圧を上げ、頭がはっきりしてきます。けれど起立性調節障害があると、この「起きるための血圧の立ち上がり」がゆっくりで、頭がぼんやりしたまま、体が鉛のように重く感じられます。「気合を入れれば起きられる」のではなく、体のなかで血圧が追いついてこないために動けない、ということです。だから、自分を責めても起きられるようにはなりません。あなたが悪いわけではありません。

起立性調節障害は、思春期に多く見られます。有病率は、軽い症状の人も含めると中学生のおよそ10%とされ、小学校高学年から中学・高校生にかけての世代に多い病気です(日本小児心身医学会)。クラスに何人かはいる計算になります。「自分だけがおかしい」と感じる必要はありません。同じように朝のつらさを抱えている人は、思っているよりずっと多くいます。

約10%

中学生の有病率(軽い症状を含む)

午前→午後

午前に強く、午後にやわらぐ日内変動

思春期は、体が大人へと大きく変化していく時期です。身長が急に伸び、ホルモンのバランスも変わるなかで、自律神経のバランスも一時的に不安定になりやすいといわれます。起立性調節障害が思春期に多いのには、こうした体の成長の背景もあります。

起立性調節障害は、気の持ちようで治るものではなく、基本的に「からだの疾患」です。朝起きられないことや午前中の不調は、わざとでも、努力不足でもありません。まずはそのことを知っておいてください。

朝起きられないのは怠けじゃない|起立性調節障害のサイン

朝起きられないと、まわりから「怠けている」「夜更かししているからだ」と言われたり、自分でも「ただのサボりなんじゃないか」と責めたりしてしまいがちです。とくに、目に見える熱やケガがないと、「本当はがんばれるのに、やる気がないだけ」と思われてしまうことがあります。けれど、起立性調節障害には、いくつかの特徴的なサインがあります。あなたの不調が「怠け」とは別のものかどうか、確かめる手がかりになります。

規律性調節障害の朝起きられない・立ちくらみなど、体に出るサイン

起立性調節障害でよく見られるサイン

  • 朝起きられず、午前中はずっと調子が悪い
  • 立ち上がったときに立ちくらみやめまいがする
  • 立っていると気分が悪くなる・ひどいと意識が遠のく
  • 動悸や息切れがする
  • 頭痛・腹痛が続く
  • 顔色が青白い・だるくて疲れやすい
  • 食欲がない
  • 乗り物に酔いやすい

これらの症状は、立つと強まり、横になると軽くなる傾向があります(日本小児心身医学会)。立ち続けたときや、急に立ち上がったときに気分が悪くなりやすいのも特徴です。

午前は不調・午後に回復という「日内変動」

起立性調節障害の大きな特徴のひとつが、症状が午前中に強く、午後から夕方にかけてやわらいでいくという日内変動です。朝はまったく動けなかったのに、夕方になると元気が戻ってきて、夜には普通に過ごせる。この「波」があるために、まわりからは「夜は元気じゃないか」「やっぱりサボりだ」と誤解されやすく、それがこの病気のつらいところです。

でも、この午前と午後の差こそが、起立性調節障害という体の状態を示すサインのひとつです。あなたがわざと午前中だけ調子を悪くしているわけではありません。自律神経の切り替えに時間がかかるために、体が動けるようになるのが午後にずれこんでいる、ということになります。「夕方になると元気になるのに、朝になるとまた動けない」のくり返しに、自分でも戸惑い、落ちこんでしまう人もいるでしょう。けれど、それは意志の弱さではなく、毎朝くり返し起こる体の波です。

こんなふうに感じていませんか

  • 「早く寝てるのに、朝はどうしても起きられない」
  • 「夜は元気だから、自分でも怠けに見えてつらい」
  • 「親や先生に気合が足りないと言われて、自分を責めてしまう」
  • 「サボりだと思われたくなくて、誰にも相談できない」

こうした気持ちは、起立性調節障害で悩む人によく見られます。周囲の理解を得られず「怠けグセ」「さぼりグセ」などと誤解を受けることもありますが、起立性調節障害は基本的にからだの疾患であり、気の持ちようで治るものではありません(日本小児心身医学会)。むしろ、周囲の否定的な対応や心理社会的なストレスが、症状の悪化に関わることもあるとされています(小児起立性調節障害診療ガイドライン解説(GL035))。こうして気づいて調べていること自体が、もう体を守る行動になっています。

「怠け」と起立性調節障害は、ここが違う

「怠け」と「起立性調節障害」は、見た目が似ていても、中身がまったく違います。違いを知っておくと、「自分のこれは、怠けではなく体の状態かもしれない」と気づきやすくなります。

いわゆる「怠け」

  • 起きようと思えば起きられる
  • 立ちくらみや動悸はとくにない
  • 午前と午後の差は、気分しだいで変わる
  • 起きられないことを、あまり気にしていない

起立性調節障害

  • 立つと血流が保てず、体が動かせない
  • 立つと立ちくらみや動悸が起こりやすい
  • 午前に強く、午後にやわらぐ波がある
  • 起きられない自分を、強く責めていることが多い

つまり、起立性調節障害は「起きたくないから起きない」のではなく、「起きたいのに、体のしくみのせいで起きられない」状態です。起きられない自分をいちばん強く責めているのは、たぶんあなた自身です。でも、それは怠けたからではありません。

ここで挙げたサインや違いが当てはまるからといって、自分だけで「起立性調節障害だ」と決めつける必要はありません。次に説明するように、似た症状が出る別の病気もあります。当てはまるものが多いと感じたら、それは医療機関に相談してみる目安になります。

朝起きられない原因|起立性調節障害が起こるしくみと背景

起立性調節障害がなぜ起こるのかは、「これひとつが原因」と言いきれるものではありません。いくつかの要因が重なって起こると考えられています。原因を一つに決めつけて自分や誰かを責めるのではなく、「いくつかのことが重なっているのかもしれない」と知っておくことが大切です。

思春期の自律神経の不安定さ

いちばんの背景にあるのが、思春期という時期の体の変化です。前にも触れたように、思春期は身長が急に伸び、体つきやホルモンが大きく変わる時期で、それにともなって自律神経のバランスも一時的にゆれやすくなります。立ち上がったときの血圧や心拍の調整がうまくいきにくくなるのは、こうした成長の途中で起こる変化と関係しています。

生活リズムとの関わり

睡眠や活動のリズムも、症状に関わることがあります。ただし、ここで気をつけたいのは、「生活リズムが乱れているから起立性調節障害になった」と単純に言いきれるわけではないということです。起立性調節障害があると、朝起きられず夜に元気が出るために、結果として夜ふかし気味の生活になりやすい、という面もあります。つまり「だらしないから朝起きられない」のではなく、「朝起きられない状態が先にあって、生活リズムが後ろにずれていく」こともあります。

ストレスや気持ちとの関わり

学校や家庭でのストレス、不安や緊張といった気持ちの状態も、自律神経に影響して症状に関わることがあります。これは「気の持ちようで治る」という意味ではありません。心と体はつながっていて、ストレスがかかると自律神経のバランスがゆれやすくなる、ということです。逆に言えば、「ストレスがあるから、あなたが悪い」のでもありません。誰にでもストレスはあり、それが体に出やすい時期や体質があるだけです。だからこそ、つらい気持ちをためこまず、信頼できる大人や専門家に話すことも、体を楽にする助けになります。

起立性調節障害は、思春期の体の変化・生活リズム・ストレスなど、いくつかの要因が重なって起こります。「これが悪い」と一つに決めつけて、自分や家族を責める必要はありません。原因を一つに探しあてようとするより、今できることから少しずつ整えていくほうが、体は楽になりやすいものです。

起立性調節障害にはいくつかのタイプがある

起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍の変化のしかたによって、主に4つのタイプに分けられます。起立直後性低血圧・体位性頻脈症候群(POTS)・血管迷走神経性失神・遷延性起立性低血圧の4つです(日本小児心身医学会)。

タイプ 立ったときに起こりやすいこと
起立直後性低血圧 立った直後に血圧が下がり、立ちくらみやめまいが起こる
体位性頻脈症候群 血圧は保たれるが、心拍数が大きく上がり、動悸やだるさが出る
血管迷走神経性失神 立っているうちに血圧や脈が下がり、気を失うことがある
遷延性起立性低血圧 立ってしばらくしてから、ゆっくり血圧が下がっていく

どのタイプかによって、合いやすい対処や治療は少しずつ変わってきます。タイプの見分けは、次に説明する「新起立試験」という検査で調べるのが一般的です。自分でタイプを判断する必要はなく、医療機関で確かめてもらえます。「自分はどのタイプだろう」と不安になりすぎなくても大丈夫です。検査で分かることなので、気になるときはまず相談してみてください。

朝起きられない起立性調節障害の受診目安

「これは起立性調節障害かもしれない」と感じたとき、どこに相談すればいいのか、いつ受診すればいいのかは、大切なポイントです。一人で抱えこまず、医療機関に相談することが、回復への入り口になります。

まずは小児科や思春期外来へ

起立性調節障害は、子どもや思春期世代の体を診る小児科が、まず相談しやすい窓口です。中学生は、内科ではなく小児科でみてもらえる年代です。地域によっては、思春期の心と体を専門に診る思春期外来や、起立性調節障害を多く診ている医療機関もあります。近くにそうした専門の科がないときは、まずかかりつけの小児科や近くの医療機関に相談し、必要に応じて紹介してもらうという流れでも大丈夫です。病院をさがすときは、ホームページに「起立性調節障害」の記載があるかどうかも、一つの目安になります。

「何科に行けばいいか分からない」というときは、迷ったまま我慢するより、まず小児科に「朝起きられなくて、立ちくらみもあります」と症状を伝えて相談してみてください。受診では、いきなり大きな検査をするのではなく、まず話を聞いてもらうところから始まります。

受診をためらう理由のひとつに、「行っても怠けと言われるだけかも」という不安があるかもしれません。でも、医療機関は、起立性調節障害という病気を知ったうえで、体の状態をきちんと調べてくれる場所です。叱るためではなく、あなたのつらさの原因を一緒にさがすために診てくれます。安心して相談して大丈夫です。

診断の流れと新起立試験

起立性調節障害の診断は、大きく分けて、(1)問診、(2)新起立試験という検査、(3)医師による総合判断、という流れで進みます(日本小児心身医学会)。まず問診で、朝のつらさや立ちくらみなど、どんな症状がいつ出るかを医師がたずねます。下にあるような症状のうち3つ以上(2つでも症状が強ければ)当てはまるときは、医療機関で相談する目安になります。最終的な診断は、医師が問診と検査をもとに行います。

その問診に続いて行うのが、新起立試験という検査です。寝た状態と立った状態の血圧・心拍数の変化を調べ、4つのうちどのタイプかを見分けます。これは痛みのある検査ではありません。最後に、この問診と検査の結果をあわせて、医師が起立性調節障害かどうかを総合的に判断します。診断するのは医師なので、安心して受けて大丈夫です。

問診でたずねられる主な症状(3つ以上で受診の目安)

  • 立ちくらみ、または、めまいを起こしやすい
  • 立っていると気分が悪くなる、ひどいと倒れる
  • 入浴時や、いやなことを見聞きすると気分が悪くなる
  • 少し動くと動悸や息切れがする
  • 朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪い
  • 顔色が青白い
  • 食欲がない
  • おなかが痛くなることが多い
  • 疲れやすい・だるい
  • 頭痛がよく起こる
  • 乗り物に酔いやすい

新起立試験は、症状の出やすい午前中に行うことがすすめられます。検査の前に、はげしい運動を控えるなどの注意があることもあるので、予約のときに確認しておくと安心です。検査そのものは、横になったり立ったりして血圧などを測るもので、痛みのある検査ではありません。注射のようなこわい検査を想像して不安になる必要はありません。

受診を考えるタイミング

「朝起きられない日が続いている」「立ちくらみやめまいで日常生活や学校生活に支障が出ている」「自分でも怠けと体の不調の区別がつかなくてつらい」。こう感じたら、それが受診を考える目安です。症状が軽いうちでも、早めに相談して困ることは何もありません。

受診のとき、こんなことをメモして持っていくと、医師に伝えやすくなります。「いつごろから・週に何回くらい起きられないか」「どんな症状が・いつ強く出るか(朝が強い、立つと出る、など)」「これまで試したこと(早寝・目覚ましなど)とその結果」。うまく言葉にできなくても大丈夫です。メモを見せるだけでも、診察の助けになります。

親への伝え方

「親に話しても、怠けだと言われそう」「大げさだと思われたくない」。そう感じて言い出せないのは、とても自然なことです。直接話すのが難しいときは、この記事のような情報を見せながら「これかもしれないから、一度病院で診てもらいたい」と伝える方法もあります。手紙やメモ、スマホのメッセージで気持ちを書いて渡すのも一つの手です。

親に話しにくいときは、学校の養護教諭(保健室の先生)やスクールカウンセラーに先に相談するのもいい方法です。あなたの状況を一緒に整理して、受診や家庭への伝え方を考えてくれます。話す相手は、一人に決めなくて大丈夫です。「怒られるかもしれない」と思うと、なかなか一歩が踏み出せないものですが、体のことを伝えるのは、わがままでも甘えでもありません。自分の体を守るための、大切な行動です。

朝起きられないときに今日からできる生活の工夫

起立性調節障害の治療では、薬よりもまず、毎日の生活のなかでできる工夫が基本になります(日本小児心身医学会)。ここで紹介する工夫は、医学的な根拠のある範囲のものです。ただし、効き方には個人差があり、これだけで治るとは限りません。また、これらの工夫は、診断を受けたうえで取り入れるのが安心です。「やってみて合うものを続ける」くらいの気持ちで、できることから取り入れていくとよいでしょう。

水分と塩分をしっかりとる

血液の量を保ち、立ったときの血圧が下がりすぎないようにするために、水分と塩分をいつもより少し多めにとることがすすめられます。目安として、水分は1日に1.5〜2リットルほど、塩分はふだんの食事に3gほど足すくらいがすすめられています(日本小児心身医学会)。水分は、のどがかわく前にこまめに飲むのがコツです。とくに朝は体の水分が不足しがちなので、起きたあとにコップ一杯の水を飲むことから始めてみるのもいいでしょう。ただし、持病があるときや、量に不安があるときは、一人で大きく増やさず、医師や看護師に確認しながら進めると安心です。

ゆっくり立ち上がる

急に立ち上がると、血液が下がって脳への血流が一気に足りなくなり、立ちくらみが起きやすくなります。立つときは、頭を下げぎみにしながらゆっくり立ち上がるのがコツです。また、立ったままじっとしている時間は、できれば長く続けないようにし、長く立つときは足踏みをしたり足を組んだりして、血液が下がりすぎないようにくふうします。朝礼や全校集会などで長く立つ場面は、起立性調節障害のある人にとってつらい時間になりがちです。気分が悪くなりそうなときは、がまんせずしゃがむ・座る・横になってください。倒れる前にしゃがんだり座ったりするのは、わがままではありません。自分の体を守るために必要なことです。あらかじめ先生に伝えておくと、無理なく対応してもらいやすくなります。

立ちくらみを防ぐ動き方のコツ

  • 寝た状態から起きるときは、いきなり起き上がらず、少しずつ体を起こす
  • 立ち上がるときは、頭を下げぎみにしてゆっくり
  • 長く立つときは、足踏みや足を組むなどで足にたまる血を減らす
  • 気分が悪くなりそうなら、がまんせずしゃがむ・座る

適度に体を動かす

体調がつらいと体を動かすのがこわくなりますが、まったく動かないでいると筋力が落ちて、かえって血液を心臓に戻す力が弱くなってしまいます。とくに、足の筋肉は血液を上へ送り返すポンプの役割を果たす部分です。軽く歩くだけでも立ちくらみの起こりにくさにつながるため、無理のない範囲で1日30分ほどの歩行など、軽い運動を続けることがすすめられています(日本小児心身医学会)。調子のいい午後の時間を使うなど、自分のペースで取り入れるとよいでしょう。一度にたくさんやろうとせず、短い時間からで大丈夫です。「がんばって運動しなきゃ」と思いつめる必要はありません。

睡眠と生活リズムを整える

夜ふかしが続くと、朝の自律神経の切り替えがますます大変になります。できる範囲で、夜は早めに布団に入り、朝は決まった時間に光を浴びるなど、生活リズムを整えていくことが土台になります。寝る前にスマホの画面を長く見ていると、脳が冴えて眠りにくくなることもあるので、寝る少し前に画面から離れる時間をつくるのも一つの工夫です。

とはいえ、起立性調節障害があると朝すぐには動けないのが当たり前です。「今日からきちんと早起き」と一気に変えようとして自分を追いつめるのではなく、少しずつ整えていく、というくらいの気持ちで大丈夫です。うまくいかない日があっても気にしすぎず、できた日に目を向けながら、ゆっくり続けていきましょう。

薬を使う治療について

生活の工夫を続けても症状が強く、日常生活や学校生活に支障が出るときには、医師の判断で内服薬による治療を組み合わせることがあります(ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修))。ただし、薬はすべての人に必ず必要なわけではなく、あくまで生活の工夫が基本です。使うかどうか・どの薬かは、医師が一人ひとりの状態を見て判断します。

代表的な薬のひとつにミドドリン塩酸塩という、血管をしめて血圧の低下をやわらげる飲み薬があります。この薬の承認された効能・効果は「本態性低血圧、起立性低血圧」で、小児では通常1日4mgを2回に分けて飲み、1日の最高量は6mgとされています(ミドドリン塩酸塩 医薬品インタビューフォーム)。どんな薬にも、効果と一緒に副作用がありますので、知っておくことが大切です。

ミドドリン塩酸塩の副作用は、これまでの調査で9,156例中121例(約1.32%)に報告されています。主なものは頭痛・悪心(吐き気)・腹痛で、いずれも発現頻度は5%未満とされています。

そのほか動悸・めまい・眠気・いらいら感・発疹・かゆみ・肝機能の数値の変化なども、頻度5%未満の範囲で報告されています。気になる症状が出たときは、自分で判断して中断せず、必ず処方した医師に相談してください。

薬を使うことに不安があるときは、その気持ちも受診のときに正直に伝えて大丈夫です。「薬は飲みたくない」「まず生活の工夫から試したい」という希望も、医師と相談しながら治療を決めていけます。

朝起きられない中学生|学校へ起立性調節障害の伝え方

起立性調節障害があると、どうしても遅刻や欠席が増えてしまいます。「またサボりだと思われる」「先生に怒られる」と、学校のことで頭がいっぱいになってしまう人も多いと思います。でも、起立性調節障害は体の病気であり、遅刻や欠席はあなたのせいではありません。

遅刻・欠席への理解を求める

まずは、起立性調節障害という病気のことを、学校の先生に知ってもらうことが第一歩です。担任の先生に直接話すのが難しいときは、養護教諭(保健室の先生)に先に相談すると、あなたの味方になって、ほかの先生への伝え方も一緒に考えてくれます。「午前中は体が動かないけれど、午後からは登校できることがある」という日内変動のことも、伝えておくと理解してもらいやすくなります。

診断書を活用する

医療機関で起立性調節障害と診断された場合、診断書を書いてもらえることがあります。診断書があると、遅刻や欠席が病気によるものだと学校に客観的に伝わりやすくなり、「怠け」という誤解を解くことにつながります。先生に口で説明するのが苦手でも、診断書という形があれば、あなたのかわりに事情を伝えてくれるでしょう。診断書が必要かどうか、どんな配慮を学校にお願いできるかは、受診のときに医師に相談してみてください。学校とのやりとりを、あなた一人で抱えなくて大丈夫です。医師や学校、家族が、あなたを中心にして一緒に考えていけます。

午後登校という選択肢

午前中はどうしても動けないけれど午後なら登校できる、という人にとっては、午後から登校するという方法も選択肢のひとつです。無理に朝から登校しようとして体に負担をかけるより、調子の出る時間帯に合わせて学校生活を組み立てるほうが、長い目で見て続けやすいこともあります。

学校によっては、午後登校のほかにも、短い時間だけ登校する・保健室や別室で過ごすといった方法を相談できることがあります。どんな配慮ができるかは学校によって違うので、養護教諭や担任の先生に「こういう登校のしかたはできますか」とたずねてみてください。学校・家族・医師が情報を共有しておくと、本人に合った形をいっしょに考えやすくなります。どんな登校のしかたが合うかは、相談しながら少しずつ決めていけます。「ふつうに朝から行けないとダメ」と思いつめなくて大丈夫です。学校に行きたくない気持ちそのものがつらいときは、学校に行きたくない気持ちの受け止め方と相談先もあわせて読んでみるとよいかもしれません。

朝起きられないことを家族や周りの大人に分かってもらうために

朝のつらさを家族や先生に受けとめてもらうには、どう伝えればいいのでしょうか。「怠けだと思われそう」「うまく説明できない」と感じているなら、まず知っておいてほしいことがあります。あなたが朝起きられないのは、わざとでも努力不足でもなく、自律神経の不調による体の病気だということです。これは、あなたのせいではありません。

家族には、朝起きられないあなたの姿が「怠けているのでは」「気合が足りないのでは」と見えてしまうことがあるかもしれません。でも、「夜は元気なのに朝だけ動けない自分」を、まわりよりもあなた自身が強く責めていることが少なくありません。そこへ「怠けるな」「甘えるな」といった否定的な言葉が重なると、その心理的なストレスが症状の悪化に関わることもあるとされています(日本小児心身医学会)。だから、つらいときは「叱らないでほしい」と伝えてかまいません。

家族や先生に伝えてみたいこと

  • 怠けや甘えではなく、自律神経の不調による体の病気だということ
  • 朝起きられないことや午後の回復は、わざとではなく体の波だということ
  • 無理に起こすより、一緒に医療機関に相談してほしいということ
  • 自分のペースを見守って、できたことに目を向けてほしいということ

言葉で伝えるのが難しいときは、この記事のような情報を家族に見せるだけでも大丈夫です。「これかもしれない」と書いてある部分を指でさすだけでも、あなたの状態は伝わります。うまく説明できなくても、それはあなたの落ち度ではありません。

大切なのは、毎朝むりに起こしてもらうことよりも、病気を正しく知ってもらい、医療機関や学校と連携していくことです。診断や治療は医師に、学校での配慮は先生に、と役割を分け合えば、あなた一人で抱えこまずにすみます。家族だけで抱えこまず、小児科や思春期外来、学校の養護教諭などに一緒に相談してみてください。あなたを責めない環境そのものが、回復を支える大きな力になります。

朝のつらさが続くとき|規律性調整障害とうつの違い

朝起きられない・体がだるいという症状は、起立性調節障害だけでなく、気持ちの落ち込み(うつ)でも起こることがあります。また、起立性調節障害が続くなかで、学校に行けない・まわりに理解されないといったつらさが重なって、二次的に気持ちが沈んでしまうこともあります。

大切なのは、起立性調節障害(体の自律神経の病気)と、うつ(気分の落ち込みが続く状態)は、別のものだということです。ただ、症状が重なって見えることもあり、どちらなのかは医師の問診や検査で見分けてもらえます。「これは体の病気なのか、それとも気持ちの問題なのか」を、自分一人で決めつけなくて大丈夫です。

起立性調節障害そのものは体の病気ですが、学校に行けない日が続いたり、まわりに「怠け」と誤解されたりするつらさが重なって、だんだん気持ちが落ちこんでいくことがあります。これは自然な反応で、「心が弱いから」ではありません。体のつらさと心のつらさは、どちらか一方だけということではなく、重なり合うものです。だからこそ、体の相談(小児科など)と、気持ちの相談(カウンセリングなど)の両方を、必要に応じて頼って大丈夫です。

もし、気分の落ち込みや「何をしても楽しくない」という状態が2週間以上続いていたり、「消えてしまいたい」と感じるほどつらいときは、起立性調節障害とは別に、こころの相談も考えてみてください。それは、体の不調とは別に、心がSOSを出しているサインかもしれません。どちらのつらさも、がまんしてやり過ごすものではなく、相談していい悩みです。とくに「消えてしまいたい」と思うほどつらいときは、夜間や休日でも無料でかけられる公的な電話相談窓口があります。24時間子供SOSダイヤルもそのひとつで、一人で抱えこまずに頼って大丈夫です。

うつとの違いや、こころの相談先については、思春期のうつは甘えじゃない(サインと相談先)でくわしく扱っています。気になるときは、あわせて読んでみてください。

「朝起きられない」のは、怠けのせいでも、必ずうつだからでもありません。体の病気が隠れていることもあれば、気持ちのつらさが関わっていることもあります。どちらだろうと、あなたが感じているつらさは本物です。一人で原因を決めつけず、まず誰かに話してみてください。

「いきなり病院は不安」「まず自分の状態を、誰かに整理しながら聞いてほしい」というときは、ユースクリニック Produced byペアライフのカウンセリングを使うという選択肢もあります。10代〜20歳が、1回100円・20分で、体や心の悩みを話せます。ニックネームで予約できて、保険証もいりません。親や学校に連絡することもありません。話を聞いたうえで、必要なら小児科や思春期外来など、どこに相談すればよいかも一緒に考えます。

ユースクリニックは気持ちを話せるカウンセリングの窓口で、診察・診断や検査、薬の処方は行いません。起立性調節障害の診断や治療が必要なときは、お住まいの地域の小児科・思春期外来などの医療機関につなぎます。これらの医療機関とあわせて利用してください。

朝起きられない・ODのよくある質問(FAQ)

Q. 朝起きられないのは、やっぱり私の怠けなのでは?

そう思ってしまうのも無理はありません。でも、朝起きられず午前中に調子が悪いのは、起立性調節障害という自律神経の病気のサインであることがあります。これは気合や努力でどうにかなるものではありません。「怠けかどうか」を一人で判断しようとせず、立ちくらみや午後の回復などのサインが当てはまるなら、まず小児科などで相談してみてください。相談して困ることは何もありません。

Q. 夜は元気なのに、朝だけ起きられないのはなぜですか?

起立性調節障害には、症状が午前中に強く、午後から夕方にかけてやわらぐ「日内変動」という特徴があります。朝は自律神経が休息モードから活動モードへ切り替わるタイミングですが、起立性調節障害があるとこの切り替えに時間がかかるため、体が動けるようになるのが午後にずれこみがちです。「夜は元気なのに朝だけダメ」というのは、わざとではなく、体のしくみで起こります。

Q. 何科を受診すればいいですか?

まずは小児科が相談しやすい窓口です。中学生は小児科でみてもらえる年代です。地域によっては思春期外来や、起立性調節障害を多く診ている医療機関もあります。近くに専門の科がないときは、かかりつけの医療機関に相談し、必要に応じて紹介してもらうとよいでしょう。予約のときに「朝起きられなくて立ちくらみもある」と症状を伝えておくと、スムーズに相談できます。

Q. 薬を飲まないと治らないのですか?

いいえ、必ずしもそうではありません。起立性調節障害の治療は、水分・塩分をとる、ゆっくり立ち上がる、適度に体を動かす、生活リズムを整えるといった生活の工夫が基本です。症状が強く日常生活に支障が出る場合に、医師の判断で薬を使うこともありますが、すべての人に薬が必要なわけではありません。薬を使うかどうか・どんな薬かは、医師が一人ひとりの状態を見て判断します。

Q. 親に「怠けだ」と言われて分かってもらえません。

つらいですね。起立性調節障害は体の病気であって、あなたのせいではありません。この記事のような情報を見せながら「これかもしれないから一度病院で診てもらいたい」と伝えてみてください。診断を受けて診断書をもらえれば、病気によるものだと客観的に伝わりやすくなります。直接話しにくいときは、保健室の先生やスクールカウンセラーに先に相談して、伝え方を一緒に考えてもらうのも一つの方法です。

Q. 起立性調節障害は治りますか?どのくらいで治りますか?

治り方や時間には個人差があり、「いつまでに必ず治る」と言いきることはできません。多くの場合、思春期の体の変化が落ち着くなかで、生活の工夫や治療を続けながら少しずつ楽になっていくとされています。すぐに変化が出なくても、あせらなくて大丈夫です。経過のなかで気になることが出てきたら、そのつど医師に相談しながら進めていきましょう。一人で「治らないのでは」と抱えこまないでください。

Q. 体育や部活は休んだほうがいいですか?

運動を完全にやめてしまうと、かえって筋力が落ちて症状が出やすくなることがあるため、無理のない範囲で体を動かすことはすすめられています。ただし、どこまでやっていいかは症状やタイプによって違うので、自分で判断せず、医師に「体育や部活はどうすればいいか」を確認してください。調子の悪い日は無理をせず、できる範囲で参加する、見学にする、といった調整も、先生に相談すれば取り入れられます。

一人で抱えこまないで|朝のつらさを話せる場所

朝どうしても起きられないのは、あなたが怠けているからでも、気合が足りないからでもありません。中学生に多い起立性調節障害という、自律神経の調節がうまくいかなくなる体の病気が関わっていることがあります。午前中はつらく午後に回復するという波があるために、まわりからも自分からも「サボり」と誤解されやすいけれど、その波は体のしくみから来ています。

大切なのは、サインに気づいたら一人で抱えこまず、小児科や思春期外来などの医療機関に相談すること、そして水分・塩分・起き上がり方・生活リズムといった生活の工夫を、できることから取り入れることです。どちらも、自分を責めるためのものではなく、体を楽にしていくための前向きな一歩です。

気持ちを整理したいとき、まず誰かに話してみたいときは、ユースクリニック Produced byペアライフで話すこともできます。10代〜20歳が1回100円・20分で、ニックネームのまま相談できます。朝のつらさを、一人で抱えこまないでください。体のことは早めに大人や医療機関を頼って大丈夫です。

この記事のポイント

  • 朝起きられないのは、中学生に多い起立性調節障害という自律神経の病気かもしれず、怠けや甘えではありません
  • 立ちくらみ・午前不調・午後回復・動悸・頭痛などがサイン。午前と午後の差は、わざとではなく体のしくみによるものです
  • 「これかも」と思ったら、まず小児科や思春期外来へ。問診と新起立試験で診断します。早すぎる相談はありません
  • 治療は水分・塩分・ゆっくり立つ・軽い運動・生活リズムといった生活の工夫が基本。薬は全員に必要なわけではありません
  • 学校には診断書や午後登校という選択肢があります。家族や先生は「怠け」と決めつけず、一緒に医療機関への相談を考えてください

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ペアライフクリニックの実績

性感染症学会・感染症学会 所属医師 15名

性の健康カウンセラー 3名

思春期保健相談士 1名

LGBT基礎理解検定初級 1名

ペアライフクリニックがこの記事の監修を行っています。

本記事は2026年6月時点の情報に基づき作成しています。内容が変わる可能性があるため、最新情報は日本小児心身医学会・厚生労働省等の公式情報や、医療機関でご確認ください。朝起きられない状態や立ちくらみなどが続くときは、一人で抱えこまず、小児科などの医療機関にご相談ください。