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ジェンダー

アウティングされたら|10代が最初に決める3つのこと

アウティング

最終更新日: 2026年9月20日

「言わないでって頼んだのに、別のクラスの子が知っていた。」

「明日、教室に入れる気がしない。」

「打ち明けた自分が、バカだったのかな。」

誰に、いつ、どこまで話すかは、自分で決めたかったはずです。広げた側の問題であって、打ち明けたあなたの落ち度ではありません。本人の意思に反して性的指向や性自認を暴露する行為を、条例で禁じた自治体もあります。東京都国立市では2018年4月から禁止されています(国立市の平等参画を推進する条例)。

これから考えるのは、どこまで伝わったか、学校で誰にどこまで話すか、SNSに書かれたらどうするかの三つです。まずは、どこまで伝わったかを確かめましょう。ただ、眠れない、食べられないといった体に変化があれば、体調について先に診てもらえます。受診すべきか迷ったら医療機関を受診してください。

アウティングは、あなたの落ち度ではない

打ち明けた場面を何度も思い返して、「言った自分が悪かった」と感じるかもしれません。でも、責任があるのは同意なく広めた側です。打ち明けたあなたを責める理由にはなりません。

同意のない暴露を、条例で禁じた自治体がある

国立市などの一部の地域ではアウティングを禁じていますが、違反に対する罰則はありません。条例にもとづいて苦情や相談を出せる範囲は、市が実施する男女平等参画に関する施策までです。同じ規定のない自治体には、国立市の条例の効力は及びません。アウティングの禁止を条文に入れた全国初の例で、2018年4月1日に施行されました。

三重県にも、都道府県として初めてアウティングを禁じる規定を入れた条例があります。施行は2021年4月1日です。

性的指向や性自認を理由とする不当な差別は許されない

性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別は、あってはならないものです(LGBT理解増進法第三条)。法律の公布・施行は2023年6月23日です(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律、令和5年法律第68号:e-Gov法令検索のLGBT理解増進法)。

学校を運営する側には、相談の機会を用意するなどして、性的指向や性自認への理解を深める努力義務があります(LGBT理解増進法第六条第二項)。公立なら教育委員会、私立なら学校法人が、その役割を担う設置者です。期限や罰則はありませんが、相談する人に任せきりにせず、学校側も取り組むべきことです。

打ち明けるかどうかは、あなたが持っている権利

性的指向や性自認を公表するかどうかは、本人が決めることです。国立市では、公表する自由は個人の権利であり、公表を強制することも禁止することも認められません。言わせようとする行為も、言うなと止める行為も、条例では禁止の対象です。

自分の口で親に伝えたいときは、親へのカミングアウトの伝え方で、気持ちの整理や言葉の選び方を詳しく読めます。

アウティングされたら、まず広がりを確かめる

誰が知っているのか分からないと、教室に入るたびに不安になるかもしれません。どこまで伝わったかが分かると、次に誰へ話すかを決めやすくなります。まずは、いま分かっていることを書き出すところからです。

誰から誰へ、いつ伝わったかを書き出す

頭のなかで数えるうちは、誰が知っているのかはっきりしないものです。いま分かっていることを、紙かスマホのメモに書き出してみてください。

書き出しておくこと

  • 誰が最初に広げたか
  • いつ、どこで言われたか
  • いま知っていると分かっている人
  • その場に居合わせた人
  • 言葉が使われた場所(教室、グループトーク、SNS)

画面のやり取りは、消える前に保存する

グループトークやSNSに書かれていたら、先に画面を保存します。日付と、誰の発言かが分かる範囲まで写しておくのが目安です。

相手が投稿を削除したあとは、何が書かれていたかを示す材料が残りません。保存したものは、あとで学校や窓口へ持っていくときに使います。誰かを責めるための道具ではありません。

全部を確かめきらなくても、次に進める

どこまで広がったかを一人で調べ切ろうとすると、あちこちに聞いて回ることになります。聞いて回る行為そのものが、さらに話を広めるきっかけです。全部を確かめきらなくても、いま分かっている範囲で取れる行動は複数あります。

学校で誰にどこまで話すかは、あなたが決める

先生に話したら大ごとになるかもしれない、と不安なこともあると思います。学校が対応を進めるときは、あなたの意向を聞くことが先です。

先生が情報を共有するときも、説明と相談が先になる

先生がほかの教職員と情報を共有するときは、あなたや保護者に、なぜ共有するのかを十分に説明し、相談して理解を得ながら進めることになっています(文部科学省の学校での対応に関する通知、平成27年4月30日)。

先生が黙って話を進めるのではなく、本人に説明し、相談することが前提です。もともとは性同一性障害に関わる生徒への対応でしたが、平成28年(2016年)には、性的マイノリティとされる生徒全般に共通する対応として広がりました。誰にどこまで話すかを選ぶのはあなた自身です。

他の生徒へ伝えるかどうかも、本人の意向が先に置かれる

ほかの生徒や保護者へ伝えるときも、あなたや保護者の意向を踏まえ、個別の事情に応じて進める必要があります(文部科学省の教職員向け対応資料)。

ほかの生徒には基本的に知らせずに、学校生活を送っていた人もいます。平成26年(2014年)の全国調査で学校から集まった606件のうち、約6割の生徒がそうでした。606件は、学校が把握していた事例への任意の回答数で、実際の人数を示す数字ではありません。

すでに学校全体へ伝わったと決めつけず、いま誰が知っているのか、分かっていることから確認してみてください。

話す相手は、仲の良さでなく立場で選ぶ

学校であなたを支えるのは、担任の先生に限りません。校内のサポーターの例は、相談を受けた人、管理職、学級・ホームルーム担任、養護教諭、学校医、スクールカウンセラーなどです(文部科学省の教職員向け対応資料)。相談できる内容は、それぞれの役割によって違うのです。

いま困っていること 持っていきやすい相手
教室にいられない、静かなところで休みたい 養護教諭(保健室の先生)
気持ちの話を、成績と関係ない人に聞いてほしい スクールカウンセラー
教室の中で言われ続けている 学級・ホームルーム担任、学年主任
学年をまたいで止めてほしい 管理職(校長・副校長)

保健室の先生には体調の話、担任には教室で起きていることの話、と分けて相談した人もいます。誰に話すかに応じて、伝える内容や量を変えられます。制服や更衣室など学校生活での配慮については、性別の違和感がある学生の3つの相談先で、どこに相談するかを詳しく説明しています。

笑われたり、いじめに変わったとき

言われた次の日から、教室の空気が変わることがあります。からかいや無視が続いているなら、そこからはいじめとして扱われる話です。

先生は、いじめと思われる相談を学校へ伝える

相談を受けた先生などは、いじめの事実があると思われるとき、学校に伝えるなどの適切な対応をとることになっています(いじめ防止対策推進法の条文、平成25年法律第71号、第二十三条第一項)。

ネット上の書き込みも、いじめの定義に入る

ネットの書き込みなど、インターネットを通じた行為もいじめに含まれます。あなたと関わりのあるほかの生徒などが行ったことで、対象になった本人が心や体の苦痛を感じているものが、いじめです(いじめ防止対策推進法第二条)。

相手が冗談のつもりでも、本人が苦痛を感じているかが判断の基準です。広めたのが先生などの教職員の場合は、法律上のいじめの定義からは外れますが、学校の相談窓口に話を持っていく方法があります。

学校には、相談体制を整える義務がある

いじめについて相談できる窓口を用意することは、学校の義務です。生徒や保護者、教職員が相談できる体制を整える責任は、学校を運営する設置者にもあります(いじめ防止対策推進法第十六条第三項)。

最初に話した人に伝わらなかったときは、別の役割の先生に相談する方法があります。同じ相手に言い直すより、別の立場の先生が対応できる場面も多いからです。

アウティングがSNSに回ったときの、消す手続き

自分のことを書いた投稿が回っていると、消えるのを待つ時間が長く感じます。削除を申し出る窓口をはっきり示すことは、大規模なプラットフォーム事業者の側の義務です。

申し出る前に、投稿の画面を残す

投稿の画面と、投稿された場所が分かる情報をそろえてから、削除を申し出ます。

申し出る前にそろえるもの

  • 投稿そのものが写った画面
  • 投稿された日付と時刻の表示
  • アカウント名が分かる画面
  • 投稿のURL(リンクをコピーしたもの)

大きなSNSには、申出の窓口と削除の基準がある

大きなSNSでまず確認するのは、削除を申し出る窓口や方法、違法な情報を削除する基準です。大規模なプラットフォーム事業者には、申出の窓口・方法を明確にし、削除基準を作って公表する義務があります(情報流通プラットフォーム対処法:総務省の違法・有害情報への対応案内)。

報告と削除の申し出の入口は、アプリのヘルプや設定の中です。どの投稿を、どの理由で申し出るかを先に決めておくと、入力の途中で止まりません。

ネットの書き込みは、学校の外でも相談できる

ネット上の書き込みは、違法・有害情報相談センターで相談できます。人権に関わる相談なら、法務局の人権相談も窓口のひとつです。

学校でも、外の相談窓口でも、同じ出来事について相談できます。

アウティングされたあとの、気持ちの揺れ

眠れない夜が続いたり、朝になると体が動かなかったりすることがあります。知られたくないことが広まったとき、不安な気持ちは自然な反応です。心や体のつらさを、一人で抱え込まず相談してほしいと思います。

学校に行きたくないと感じることがある

教室に入る手前で足が止まる日があります。

学校へ行きづらいときの過ごし方や対処は、学校に行きたくないときの5つの対処法で詳しく読めます。

体の変化が出たら、医療機関で相談できる

強い緊張が続くと、眠れない、食欲がない、頭やおなかが痛むなど、体調に変化が出ることがあります。心の負担だけが原因とはかぎりません。症状・時期・既往歴により対応が異なるため医師に相談してください。

医療機関で話せること

  • 眠れない日が続いている
  • 食べられない、体重が減った
  • 頭痛や腹痛が続いている
  • 気持ちが落ち込んだままになっている

眠れない、食べられない、痛みや落ち込みが続くときは、言葉を整えようとせず、そのまま医師に伝えてください。自己判断せず医師の個別評価を受けてください。体調に応じてどのような対応が必要か、最終的な判断は医師が個別の状況に応じて行います。保険を使って受診すると、家族あての医療費通知に診療科名が載ることがあります。通知が気になるなら、予約のときに確かめられます。

今日やることを、ひとつ決める

いまからできることには、以下の選択肢があります。分かっている広がりを書き出す、投稿の画面を保存する、話す相手の候補をひとり思い浮かべる、という方法です。

話を聞く場所と、その先の相談先

学校の人には言いたくないけれど、誰かに話したいときは、学校の外にも話を聞く場所があります。

話す場所としてのユースクリニック

ユースクリニック Produced byペアライフは、性や体のことで感じている不安や戸惑いを聞くカウンセリングの窓口です。必要なときは医療機関や専門の相談先につなぎます。

料金は1回20分のカウンセリングで100円です。紹介先の医療機関で診察や検査を受けるときの費用は、その医療機関ごとに異なります。10代から20歳まで、ニックネームで予約できます。保険証はいりません。本人の同意なく親や学校へ連絡することも原則ありません。

言葉の意味から確かめたいとき

自分の性のあり方をどう呼ぶか決まっていないうちに、誰かに広められてしまうこともあります。

体をさわられたなどの被害が重なっているとき

言いふらされたことと一緒に、体をさわられた、無理やり何かをされた、という出来事が起きている場合があります。

男子の性被害については、10代男子が性被害を相談する相手の決め方で詳しく読めます。痴漢被害に遭った学生の相談先や対処は、学生が痴漢被害を相談できる場所と対処法にまとめています。

アウティングされたときのよくある質問

Q. 広めた人に、やめてと直接言うべきですか

広めた相手に直接「やめて」と言うか、言わずに学校の誰かへ相談するかは、あなたが選ぶことです。直接伝えると相手が身構え、話が大きくなるのはよくある展開です。どちらを選ぶ場合も、先に出来事の記録を残しておけます。

Q. 先生に話すと、家に伝わりますか

先生が情報を共有するときは、あなたや保護者に理由を説明し、相談して理解を得ながら進めることになっています(文部科学省の通知)。話し始める前に「誰に、どこまで伝わりますか」と確かめ、伝えてほしくない範囲を話しておく方法があります。

Q. もう知られているのだから隠す意味はない、と言われました

まだ伝わっていない相手のほうが多い場合もあります。誰がどこまで知っているかは、書き出すところから確かめられます。どこまで話すかを決める側は、いまも本人です。

Q. しばらく学校を休んでもよいですか

学校を休むときは、休んだあとにどう戻るかも一緒に考える方法があります。行きづらさが続くときの手順は、学校に行きたくないときの5つの対処法で詳しく読めます。体の不調も出ていて、受診すべきか迷ったら医療機関を受診してください。

Q. SNSの投稿は本当に消えますか

すべての投稿が消えるとは限りません。ただ、大規模なプラットフォーム事業者には、削除の申出先や方法を明確にし、削除基準を作って公表する義務があります。申し出る前に画面を残しておくと、あとで説明が短く済みます。

Q. 広めた相手の責任を問えますか

アウティングを禁じる条例があるかどうかも、住んでいる場所で異なります。相手の責任をどこまで問えるかは、起きたことによっても変わるものです。法務局の人権相談のような窓口に状況を伝え、確かめる方法があります。

アウティングされた、いまのあなたへ

明日、教室に入れる気がしない。そんなときは、明日のことまで決めず、今日することから考えるのもひとつの方法です。

誰に話すかが決まっていなくても、体の不調は先に相談できます。受診すべきか迷ったら医療機関を受診してください。

まだ気持ちがまとまらないまま、ユースクリニック Produced byペアライフに来る人もいます。話すところから始められます。

この記事のポイント

  • 本人の意思に反して性的指向・性自認等を暴露することは、国立市で2018年4月から条例で禁じられています。都道府県では、三重県が初めて2021年4月から同じ趣旨の規定を設けました。いずれも罰則はなく、同じ規定を置いていない自治体では根拠になりません
  • 先生がほかの教職員や生徒、保護者に情報を伝えるときは、あなたや保護者の意向を踏まえて進めることになっています(文部科学省の通知)
  • ほかの生徒には基本的に知らせず学校生活を送っていた人は、平成26年(2014年)の全国調査で学校から任意に集まった606件のうち、約6割でした
  • いじめの相談を受けた先生などは、いじめの事実があると思われるとき、学校に伝えるなど適切な対応をとることになっています(いじめ防止対策推進法第二十三条第一項)。第二条のいじめの定義には、ネット上の行為も含まれます
  • 大規模なプラットフォーム事業者には、削除を申し出る窓口・方法を明確にし、違法な情報の削除基準を作って公表する義務があります(総務省)

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ペアライフクリニックの実績

性感染症学会・感染症学会 所属医師 15名

性の健康カウンセラー 3名

思春期保健相談士 1名

LGBT基礎理解検定初級 1名

ペアライフクリニックがこの記事の監修を行っています。