オナニーのしすぎで体に害はある?10代のうちに知っておきたいこと
最終更新日: 2026年9月7日
「毎日してしまう。回数が多すぎる気がする。」
「しすぎると体に悪いって聞いた。もう手遅れなんじゃないか。」
「やめようと思っているのに、やめられない。」
マスターベーションは、生涯を通じて起きる正常なです。それ自体で体に悪い結果が出ることは知られていません(MSDマニュアル プロフェッショナル版「性行動の概要」)。何度もしたからといって、病気になったり脳に影響が出たりすることもありません(TOKYO YOUTH HEALTHCARE)。
している人が少ないわけでもありません。海外の調査(MSDマニュアル プロフェッショナル版)では男性の約97%、女性の約80%が経験しており、過去4週間に1回以上と答えた人は男性66%、女性33%です。男子だけの話でもありません。
もし悪影響があるとしたら、痛みがあるか、赤みが出ているか、皮膚に傷ができていないかなどがあります。痛みや出血が続いているなら、記事を読み終えるより先に医療機関を受診してください。
この記事で扱うのは、俗説の正否、痛みが出たときの見方、学校の尿検査との関係、女子の場合、やめられないと感じるときの対処法です。
「オナニーのしすぎ」で体に起きること、起きないこと
「オナニーのしすぎ」という言葉に対応する医学的な定義はありません。
問題になる条件は、回数ではなく三つの状況
異常とみなされるのは、次の三つの場合に限られます(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
異常とみなされる三つの場合
- パートナーとの性行為など、相手に向かう行動のさまたげになっている場合
- 人前で行われる場合
- 仕事や学校、人づきあいに苦痛や支障が出るほど強迫的になっている場合
どれも「何回したか」を条件にしていません。三つとも、見ているのは状況です。毎日していても、ここに当てはまっていなければ、判断の材料になりません。
体そのものに起きる悪い結果は知られていない
マスターベーション自体が体を傷つけるという報告は、これまでありません(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。しすぎて死ぬという話がネットに流れていますが、医学が異常として扱う条件は、上に挙げた三つの状況だけです。
心臓に持病がある人が性的な興奮で負担を受ける、という話とは別ものです。持病があって不安なら、その持病を診てもらっている医師に聞くのが確実です。
実際に体に出るのは、こすれによる痛みや傷
相談として実際に多いのは、こすれによる痛み、赤み、皮膚の小さな傷です。強く握る、床にこすりつける。刺激が強いほど、こうした変化は出やすくなります。だから、変えるとすれば回数ではなく刺激の強さです。
「しすぎで薄毛」「身長が止まる」は本当か
薄毛になる、身長が止まる。検索して出てきた話ほど頭に残って離れないので、よく見かけるものから順にします。
薄毛、ニキビ、性器の黒ずみ
抜け毛が増える。ニキビが出る。性器が黒ずむ。精液をためすぎると体に悪い。こうした話は、どれも事実ではありません(TOKYO YOUTH HEALTHCARE)。したい人はする、したくない人はしない。どちらを選んでも、体に違いは出ません。
身長が伸びなくなる、成長が止まる
身長の伸びに関わるのは、遺伝や体質、各種のホルモン、それに栄養や睡眠、運動、心理状態です(日本小児内分泌学会「低身長」)。伸びが同年代と比べて気になるときは、自慰行為ではなく小児科や思春期外来で確かめるほうが早く進みます。
「7日目にテストステロンが1.5倍」という話は、根拠が撤回されている
オナ禁の効果として、禁欲7日目に血中テストステロンがふだんの145.7%、およそ1.5倍まで上がるという数字が広く出回っています。出どころは2003年の研究論文です。この論文は2021年に撤回されました。米国国立医学図書館の文献データベース(PubMed「ejaculation and serum testosterone level」(撤回済み論文 / Retracted Publication))では、文献の種別が Retracted Publication になっていて、撤回の通知も見れます。
オナ禁に意味があるかどうかそのものが決着したわけではありません。我慢したほうがいいのか、という問いについては、性欲を抑える方法はある?|思春期の性欲との付き合い方を解説で扱っています。
オナニーで痛み・赤み・すり傷が出ているとき
ひりひりする、赤くなっている、小さな傷ができている。どれかが当てはまるなら、回数より先に変えるところがあります。
減らすのは回数ではなく、まず強さ
強く握りすぎるなど、性器に強い刺激を与えることは避けたほうが安全です(TOKYO YOUTH HEALTHCARE)。床に押しつける、うつ伏せで体重をかける形も同じです。
強い刺激に慣れてしまうと、あとになって射精しにくさにつながる場合があります。減らすなら回数より先に、握る力です。
手を洗う、爪を切る、一人になれる場所で
気をつけることは三つです(TOKYO YOUTH HEALTHCARE)。
体を痛めないための条件
- 先に手を洗い、爪を切っておく
- 強く握らない、床に押しつけない
- ひとりだけになれる場所で行う
爪の傷は、思っているより治りが遅くなります。
宿泊行事のあいだは、その期間を空ける
修学旅行や合宿では、ひとりになれる場所がほとんどありません。数日しなかったからといって、体に何か起きるわけではありません。無理に場所を探すより、その期間は空けるほうが安全です。
痛みや傷が続くときの行き先
数日たっても痛みが引かない、出血がある、皮膚のただれが治らない。どれかが続くなら、行き先は出ている場所で決まります。迷ったら医療機関を受診してください。
| 出ているもの | 行き先 |
|---|---|
| 陰茎・陰嚢の痛み、赤み、傷 | 泌尿器科 |
| 外陰部の痛み、ひりつき、排尿時の痛み | 婦人科 |
| 体には出ていないが、生活が回らなくなっている | 児童精神科、思春期外来 |
| どこへ行くか決められない | 学校の保健室、ユースクリニック |
言い出しにくいところですが、診察では「ここが痛い」「いつからか」の二つが伝われば、そこから先は医師が進めます。どこへ行くかを選ぶのはあなた自身です。
一人で受診できるのか|費用と家族にバレないか
親の同意が必ずいる、という法律はない
未成年だから親の同意が必ずいる、という法律はありません。説明を聞いて理解し、自分で決められる状態であれば、本人の同意にもとづいて診察が行われます(日本医師会「インフォームド・コンセント」)。
費用は自己負担分、ただし家族あての通知に診療科名が載る
痛みや傷など症状があるときの診察は、保険診療の自己負担分です。窓口で払うのは、かかった医療費の3割です(e-Gov法令検索「健康保険法」74条)。住んでいる市区町村の子ども医療費助成の対象に入っていれば、この自己負担分はさらに下がります。助成は全1,741市区町村にあり、通院の対象を18歳になる年度の3月末までとするところが1,576で最も多くなっています(こども家庭庁 令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」)。この区切りを決めるのは年齢の年度で、高校に通っているかどうかではありません。対象の年齢も自己負担の有無も市区町村ごとに違うので、条件は自分の市区町村のホームページに載っています。内容によっては自費になる部分もあります。
ただし保険を使うと、家族あての医療費通知に受診した診療科名が載ることがあります。家族に知られる経路は、ほぼこれです。
同じ手順は、何も考えていないのに勃起する?|高校生によく起きる理由を解説の「一人で行けるか、費用はいくらかを電話で確かめる」でも扱っています。
学校の尿検査に、前の日のことは出ない
前の日にオナニーしたことが検査に出るのではないか。この心配は、何を測っているかが分かると解消できます。
学校の尿検査で調べているもの
調べているものは決まっていて、方法は試験紙法です(e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」)。
- 尿の中の蛋白
- 尿の中の糖
精液そのものを調べる項目はありません。性行為があったかどうかも、この検査では分かりません。
引っかかったときに、自分で理由をつけない
発熱、運動、採尿時の汚れなどで出る一過性の蛋白尿は、心配のいらないものです(鳥取県医師会「学校検尿での蛋白尿」)。ただし、一過性だと決めるのは、複数回の検尿を見た医師です。
二次検診の案内が来たときに「前の日にオナニーしたせいだから大丈夫」と受け流すのは危ういところです。自己判断せず医師の個別評価を受けてください。案内どおりに受け直せば、それで終わる場合がほとんどです。
女子は、生理中の採尿で異常値が出ることがある
採尿のときが生理中だと、それだけで一過性の異常値が出ることがあります(鳥取県医師会「学校検尿での蛋白尿」)。学校検尿の問診票に月経中かどうかを書く欄があるのは、このためです。空欄のままだと、必要のない再検査につながります。
女子のマスターベーションも、見るところは男子と同じ
自分だけがしているのではないか。女子の側にも、同じ問いがあります。話題としては男子のこととして扱われがちですが、心配の中身は変わりません。
珍しいことではない
海外の調査では、経験ありと答えた人が男女とも多数を占めています(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
97% / 80%
経験ありと答えた人(男性/女性・海外調査)
66% / 33%
過去4週間に1回以上(男性/女性)
日本の10代女子に絞った数字ではありませんが、少数派ではないことは分かります。
日本語で読める公的な情報は、たしかに男子向けに寄っています。それは、女子に起きていないという意味ではありません。
清潔の条件は同じで、影響が出る場所が違う
条件そのものは男女で変わりません。手を洗う、強く握らない、ひとりになれる場所で。この三つは、そのまま当てはまります。違うのは、影響が出る場所です。外陰部は皮膚が薄いので、こすれによる痛みやひりつきが出やすくなります。
排尿のときに痛みが出る、ひりつきが続く。こうした状態が数日続くときは婦人科で診てもらえます。生理と重なる時期のことは、量や周期の変化とあわせて婦人科で相談できます。
しない人がいることも、同じように普通のこと
しないのが普通だと聞いて、自分がおかしいと感じた人もいると思います。生涯を通じた正常な性行為という扱いは、男女で同じです。しない人がいることも、同じように普通のことです。
オナニーがやめられないと感じるとき
やめようと決めた夜に、また手が動いてしまう。回数ではないなら、この状態は何で見分けるのか。
思春期に回数が多いこと自体は、病気として扱われない
思春期によくみられる高い頻度のマスターベーションは、それだけでは病気として扱われません。本人が苦しさを感じている場合でも、扱いは同じです(日本精神神経学会「衝動制御症群と秩序破壊的または非社会的行動症群」ICD-11 6C72 の解説)。性的な思考や衝動、行動は、内容も頻度も人によって大きく違い、その幅の広さが前提に置かれています。
診断名そのものと受診先については、性欲を抑える方法はある?|思春期の性欲との付き合い方を解説にまとめてあります。
罪悪感だけでは、要件を満たさない
道徳的な判断や自分への否定だけから来る苦しさは、診断の要件を満たしません(日本精神神経学会「衝動制御症群と秩序破壊的または非社会的行動症群」)。すべきでないと強く思っている人が、そう思っているがゆえに苦しくなっている。この形は、除外すべき例として挙げられています。
それでも相談したほうがいい状態
次のどれかが起きているなら、別の問題が動いています。
医療機関で相談する目安
- 夢中になるあまり食事をとらない、学校に行けないなど、日常生活に支障が出ている
- 減らそうとする試みが何度も失敗し、その状態が半年以上続いている
- 自分では止められず、家の外や人のいる場所でしてしまう
- 痛みや傷が出ているのに続けてしまう
- 死にたい、消えたいという気持ちがある
日常生活に支障が出ているなら、こころがストレスを抱えて依存している状態も考えられます。受診の目安はそこです。行き先は児童精神科、思春期外来、それに学校の保健室です。死にたいと感じているときは、その日のうちに大人に伝えてください。
オナニーのしすぎについてよくある質問
Q. 家族に見つかってしまいました。
体に起きていることは、見つかる前と後で変わりません。困るのは気まずさで、ここから先は場所と時間の問題です。
鍵のかかる部屋を選ぶ、家族が在宅でない時間にする、使ったものはその場で片づける。この三つを決めておけば、同じことは防げます。何か言われたとしても、恥ずかしいことをしたわけではありません。
Q. 健康診断の前日にしても大丈夫ですか。
学校の尿検査で調べているのは蛋白と糖の二つで、前の日にしたかどうかを判定する項目は含まれていません。
結果で引っかかった場合は、案内どおりに再検査を受けてください。前日のせいだと自分で決めてしまうのは避けます。
Q. しすぎるとEDになると聞きました。
回数そのものがEDにつながる、という関係は確かめられていません。ただ、強く握る、床にこすりつけるといった強い刺激に慣れることが、あとの射精しにくさにつながる場合はあります。
勃起や射精のしにくさが続いているなら、原因を自分で決めずに泌尿器科で相談できます。症状・時期・既往歴により対応が異なるため医師に相談してください。
Q. 痛みも傷もありません。それでも相談していいですか。
症状が出ていることは条件になっていません。回数のことが頭から離れない、そのせいで眠れない。体より先に眠れなくなっている、その段階から相談できます。
診察の前に、カウンセリングの窓口から入る道もあります。体に何も出ていないと分かるだけで、数える理由がなくなる人もいます。最終的な判断は医師が個別の状況に応じて行います。
マスターベーションは体の相談として話していい
痛みや傷が続くなら泌尿器科か婦人科、生活が回らなくなっているなら児童精神科や思春期外来、学校の保健室です。順番はありません。近いところ、行きやすいところから当たってください。取れる行動は複数あります。
名前を出したくない、お金の心配がある、親に知られたくない。ここで足が止まっているなら、ユースクリニック Produced byペアライフがあります。性や体のことで感じている不安や戸惑いを聞くカウンセリングの窓口です。
名前はニックネームで予約できます。お金は1回20分100円で、保険証もいりません。親や学校へ、本人の同意なく連絡することは原則ありません。必要なときは医療機関や専門の相談先につなぎます。対象は10代から20歳までです。
一人で抱え込まず相談してほしいと思います。
この記事のポイント
- 回数の合格ラインはありません。臨床で問題とされるのは、相手に向かう行動をさまたげる場合、人前で行う場合、苦痛や支障が出るほど強迫的な場合の三つです
- マスターベーションそのものによる体への悪い結果は知られていません。薄毛、ニキビ、性器の黒ずみ、成長への影響は、いずれも事実ではないとされています
- オナ禁の根拠として広まっている「7日目にテストステロン145.7%」の研究論文は、2021年に撤回されています
- 学校の尿検査で調べているのは蛋白と糖です。引っかかったときに前日のせいだと自分で決めず、案内どおり再検査を受けてください
- 思春期に頻度が高いことは、苦しさを感じている場合であっても、それだけで病気として扱われません。日常生活に支障が出ているときが相談の目安です
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