性欲を抑える方法はある?|思春期の性欲との付き合い方を解説
最終更新日: 2026年8月19日
「勉強しようとしても、気づいたら頭の中がそのことばかりになっている。」
「性欲が強すぎる自分は、どこかおかしいんじゃないか。」
「ムラムラするのは、抑えようと思って抑えられるものなんだろうか。」
おかしくはありません。思春期に性的な欲求が生じるのは、性腺から出る性ホルモンのはたらきによるものです(MSDマニュアル家庭版「思春期の遅れ」)。中学の保健では、この変化を「個人差はあるものの、性衝動が生じたり、異性への関心などが高まったりする」と扱っています(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 保健体育編」)。
なぜ起きるのか。強さの幅はどこまであるのか。そのあとに、生活の中で変えられること、気持ちと行動の線、相談する場面の目安を解説します。
性欲が強くなるのはなぜか
性ホルモンが第二次性徴と性的欲求を生む
思春期になると、精巣や卵巣といった性腺が成長します。育った性腺から出るのが、テストステロン(男子)やエストロゲン(女子)などの性ホルモンです。このホルモンによって第二次性徴が起こり、ひげや筋肉、乳房のふくらみ、陰毛やわき毛といった変化とあわせて、性的欲求(性欲)が生じます(MSDマニュアル家庭版)。
思春期と性衝動が始まる年齢には幅がある
男子では、通常10歳から14歳のあいだに思春期を迎え、9歳ごろから始まる場合も珍しくありません。その後の身体的な変化は16歳から18歳まで続くことがあります(MSDマニュアル家庭版「思春期の少年」)。女子の場合はこれより早く、8歳から13歳ごろが目安です(MSDマニュアル家庭版「思春期の遅れ」)。始まる時期も、変化の速さも人それぞれです。
男子では通常10歳から14歳、女子では8歳から13歳ごろに思春期が始まります。9歳で始まる人も、中学生になってから始まる人もいます。始まる時期にも速さにも個人差があり、どこにいても幅の中です。
女子で12〜13歳になっても胸のふくらみが始まらない、15歳になっても月経(生理)がない、男子で13〜14歳になっても体の変化が出ないときは、小児科や思春期外来で相談してください。
性欲は意志の強さの問題ではない
集中が切れるたびに、自分の意思が弱いからだと考えてしまいます。ただ、ここまでの説明はすべて体のしくみの話で、性格や努力の話ではありません。
ホルモンが出ることを、自分の意志で止める手立てはありません。欲求そのものをゼロにする目標を立てると、達成できない目標を毎日追いかけることになります。
「性欲が強い」に基準はあるのか
自分だけ多いのではないか。同級生には聞けないので、確かめる手がかりがないままになります。
保健の学習で使われる言葉は「性衝動」
調べていると「性欲」という言葉ばかり出てきますが、学校で使われている言葉は違います。中学の保健の内容を定める「中学校学習指導要領」の解説が使っているのは「性衝動」です。(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 保健体育編」/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編」)。
言葉が違うだけで、指しているものは重なります。検索して、誰が書いたか分からない書き込みばかり出てくるときは、「性衝動」に置き換えると公的な資料を見つけやすくなります。
性衝動には「個人差はあるものの」と書かれている
中学校の解説には、「身体的な成熟に伴う性的な発達に対応し、個人差はあるものの、性衝動が生じたり、異性への関心などが高まったりする」と書かれています(文部科学省「解説 保健体育編」)。
性的な欲求をあまり感じないという人も同じ様にいて、どちらかがわけでもありません。小学校の保健でも、思春期には「異性への関心も芽生えること」として扱われるところまでで、強さの目盛りは置かれていません。
性欲は抑えられるものなのか
「抑える」を目標にすると失敗が自己否定に変わる
「今日から考えない」と決めた日ほど、そのことが頭から離れません。決めた直後ほど頭に居座ると感じる人もいます。目標が「起きないこと」だと、起きた時点で失敗になり、失敗の数がそのまま自己評価に変わっていきます。
保健の学習は「よりよい方法を見付ける」と整理する
中学校の解説には、心の健康として、精神的な安定を図るには「日常生活に充実感をもてたり、欲求の実現に向けて取り組んだり、欲求が満たされないときに自分や周囲の状況からよりよい方法を見付けたりする」ことがあると示されています(文部科学省「解説 保健体育編」)。
ここで扱われているのは欲求全般で、性的な欲求の抑え方として書かれているわけではありません。それでも、この考え方はそのまま使えます。目標は、欲求をなくすことではなく、満たされないときの方法を見付けることです。
欲求には生理的なものと心理的なものがある
欲求には、生理的な欲求と心理的、社会的な欲求があります。眠りたい、食べたいと並ぶものと、認められたい、つながりたいと並ぶものがあります。
睡眠は8〜10時間、では性欲は下がるのか
「寝不足だと強くなる」「運動すれば収まる」。検索するとこの手の話題が並びます。
中学・高校生の睡眠は8〜10時間が目安
厚生労働省の睡眠ガイドのリーフレットは、こどもの睡眠について「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保しましょう」と示されています(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイドリーフレット」)。
もし、8時間を下回る日が続いているなら、まずはそこを改善してみても良いでしょう。
朝の光と朝食、日中の運動が並ぶ
「朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜更かしはほどほどに」とも言われています。中学校の保健でも、ストレスへの対処のひとつとして「規則正しい生活をすること」が重要とされています。
性欲が頭から離れないときの選択肢
机に向かってから10分で、別のことを考えている。困っているのは欲求そのものより、削られていく時間のほうです。
欲求のきっかけになる場面から物理的に離れる
頭から離れないときは、直前に見たものや、いた場所が引き金になっていることがあります。中学校の保健でも、ストレスへの対処としてまず「ストレスの原因となる事柄に対処すること」が挙げられています(文部科学省「解説 保健体育編」)。
できるのは、勉強する場所を自分の部屋からリビングや図書館へ移すことです。人の目がある場所だと、そのことを考えはじめる回数が変わります。うまくいかない日もありますが、試した結果は自分で確かめられるので、人の書いた体験談を信じる必要はありません。
夜のスマホと手の届く場所を変える
夜、布団の中でスマホを持っていると、そのことを考える時間が伸びます。
作れるのは物理的な距離です。充電器を部屋の入口側に置く、布団に入る前にスマホを机に戻す。この2つは今夜から始められて、続かなくても元に戻るだけです。
打ち込めるものに時間を渡す
空いた時間を我慢だけで埋めようとすると、かえってそのことから離れられません。だから、別のものを先に入れます。「日常生活に充実感をもてたり、欲求の実現に向けて取り組んだり」することが、精神的な安定を図る方法として知られています。
部活、ゲーム、絵、筋トレ、アルバイト。中身は何でもかまいません。効くのは、決まった時間に予定として入っていることのほうです。何も予定がない夜が、いちばん長く感じられます。ここまでを一人で試しても変わらないときは、ユースクリニックのカウンセリングで話す道もあります。
性欲の悩みを話せる相手と最初の一言
親には言えない。友達は冗談にする。この話をどこへ持っていけばいいのかが、いちばん困るところです。
性欲の悩みを話す相手は学校の中にもいる
ストレスへの対処として「友達や家族、教員、医師などの専門家などに話を聞いてもらったり、相談したりすること」が方法のひとつです(文部科学省「解説 保健体育編」)。
相談相手
- 学校の保健室の先生
- スクールカウンセラー(来る曜日は学校ごとに違います)
- 担任や、話しやすいと感じている先生
- 児童精神科・児童思春期外来、思春期外来
- ユースクリニックのカウンセリング(20分100円・保険証はいりません)
保健室で最初に言う一言を決めておく
入ってから何と言えばいいのか。そこが決まっていないと、扉の前で足が止まります。
「体のことで聞きたいことがあります」から始められます。もう少し具体的にするなら「思春期の体の変化のことで、聞きたいことがあります」です。話す範囲は自分で決められるので、言いたくないところは言わないまま相談できます。ユースクリニックのカウンセリングでも、どこまで話すかを決めるのは本人です。
合わなかったら別の場所を試せる
相談した相手の反応が、思っていたものと違うことがあります。そのときに残るのは「もう誰にも言えない」という感覚です。
ただ、保健室が合わなければスクールカウンセラーがいますし、学校の外がよければ医療機関や公的な相談窓口へ持っていけます。順番も回数も決まっていません。取れる行動は複数あります。
性欲と行動を分ける法律の線
衝動が強い日ほど、自分が何かしてしまうのではないかと怖くなることがあります。ここで扱うのは、気持ちと行動のあいだに引かれている線です。
性衝動が頭に浮かぶだけでは罰の対象にならない
先に結論を書きます。頭に浮かんだり、体が反応したりしただけで、罪になることはありません。重要なのは、頭の中ではなく行動のほうです。
抑えられない自分が怖いなら、この考え方がいちばん大切です。気持ちのほうをゼロにできなくても、行動のほうは自分で選べるからです。
16歳未満との性的行為と5歳差の規定
2023年7月13日から、刑法の性犯罪に関する規定が変わりました(法務省「性犯罪関係の法改正等Q&A」)。同意がない状態は暴行や脅迫だけではない、という考え方から、処罰の対象になる状況が8つの類型として条文に書かれました。たとえば、眠っているなど意識がはっきりしない相手に対する行為です。
性的な姿を撮ることについての新しい罪
同じ2023年7月13日に、性的姿態等撮影罪も新しく設けられました(法務省「性犯罪関係の法改正等Q&A」)。性的な部位や、それを覆っている下着、性的な行為の最中の姿を、正当な理由がないのにひそかに撮る行為が対象です。相手が16歳未満のときは、対象になる範囲がさらに広く定められています。
送るように求められて自分で撮った場合も、被害になることがあります。すでに送ってしまったあとでも、学校の先生や保健室、警察に相談する道があります。断り方と同意の考え方は、セックスの断り方|相手を傷つけない5つの伝え方と「断れなかった」ときの対処法にまとめました。
性欲のことで相談する目安と行き先
性欲のことで相談を考えるときの目安
相談する場面になる状態
- 学校、勉強、睡眠、人間関係のどれかが、実際に崩れている
- やめようと決めても、そのたびに繰り返してしまう状態が長く続いている
- 自分や誰かを傷つけそうで怖いと感じている
- 眠れない、食べられない、学校に行きたくないといった変化が重なっている
自分や誰かを傷つけそうで怖いと感じている状態が続いているときは、早いうちに専門家に相談してください。持っていく先は、学校の保健室、スクールカウンセラー、児童精神科や児童思春期外来です。
いますぐ行動に移してしまいそうな危険を感じるときは、その場で身近な大人か医療機関に伝えてください。夜間や休日でも受けている救急外来があります。
性衝動が止められないと感じるときの診断名
自分では止められない。そう感じている人は前からいます。だから医学の側にも名前が用意されています。世界共通の病気の分類であるICD-11では、衝動制御症群という区分に「強迫的性行動症」が新たな診断カテゴリとして加えられました(日本精神神経学会『精神神経学雑誌』「ICD-11『精神,行動,神経発達の疾患』構造と診断コード」)。
ここで伝えたいのは、診断名ではありません。「気の持ちよう」で片づける話ではなく、専門家に相談する道があるということです。10代は体も心も変化の途中にいるので、大人向けの診断名を自分に当てはめて答えを出すのは早すぎます。最終的な判断は医師が個別の状況に応じて行います。
行き先は児童精神科や思春期外来、保健室
行き先は、困っている中身で分かれます。気持ちや行動のことが中心なら、児童精神科や児童思春期外来、思春期外来が窓口です。高校生の年代では、心療内科や精神科が対象になることもあります。体の変化のほうが気になっているなら、泌尿器科や婦人科、思春期の相談を受けている小児科が入口になります。
病院に行くかどうかを決める前に話したいときは、学校の保健室がいちばん近い相談先です。病名が分からないままでも相談できます。
ユースクリニックのカウンセリングでも、聞いているのは性のことで感じている不安や戸惑いです。診察や検査が必要な状態のときは、医療機関の受診につなぎます。
一人で受診できるか、費用はどうなるか
診察を受けることへの同意に、何歳からと線を引いた法律はありません。ただし実際には、初診で保護者の同伴や同意書を求める医療機関があります。病院ごとに決まりが違うので、行く前に電話で聞けます。
成年年齢は2022年4月1日から18歳です(政府広報オンライン「18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。」)。18歳になれば、受診を自分ひとりで決められます。それより前でも、一人での受診に対応している医療機関があります。迷ったら医療機関を受診してください。
費用は、保険証を使えば保険診療の自己負担分です。金額は診察の内容で変わるので、一律ではありません。家に知られたくないと思うのは自然な気持ちです。家族の健康保険を使うと、加入している健康保険から家に届く「医療費のお知らせ」に、受診した月と医療機関名が載ることがあります。
電話では、自分の事情を全部話さなくてかまいません。聞くのは次の点だけです。
行く前の電話で聞いておくこと
- 中学生でも診てもらえるか(何歳から受け付けているか)
- 保護者が一緒でなくても受診できるか
- 保護者の同意書がいるか
- 初診でかかる費用の目安
- 保険を使わずに自費で受けた場合の費用
- 本人だけで受診した場合、親へ連絡がいくか
- 「医療費のお知らせ」に受診が載るかどうか
性欲を抑える方法についてよくある質問
Q. 衝動が抑えられなくて、自分が怖いです。
怖いと感じるのは、行動に移したくないと思っているからです。怖いと思えている時点で、あなたはもう線を引けています。
手は2つあります。ひとつは、怖くなる場面を書き出して、その場面から物理的に離れられるようにしておくことです。もうひとつは、その怖さを言葉にして誰かに渡すことです。「自分が怖い」の一言から入れます。話す先は、保健室の先生、スクールカウンセラー、児童精神科や思春期外来のどれからでも選べます。誰かを傷つけそうだと感じる状態が続いているなら、早いうちに専門家に相談してください。
Q. 女子にも性欲はありますか。
あります。性腺が成長するとエストロゲンなどの性ホルモンが出るようになり、第二次性徴とあわせて性的欲求が生じます(MSDマニュアル家庭版)。しくみは同じで、強さに幅があるところも同じです。話題にのぼる回数が少ないだけで、起きないわけではありません。
Q. 性的な欲求をあまり感じません。問題でしょうか。
困っていないなら、それ自体が問題になることはありません。保健の学習に「個人差はあるものの」と書かれているとおり、幅は両側にあります。強い側にだけ幅があるのではありません。
気にかけたいのは、体のほかの変化も一緒に来ていない場合です。声変わりや体毛、身長の伸びが同年代とずれていると感じるときは、小児科や思春期外来で確かめられます。
Q. 我慢し続けると体に悪いですか。
「我慢は体に悪い」「我慢したほうがいい」。どちらの説も出回っていますが、どちらの説も、正しさを確かめた公的な資料を持っていません。数字で答えの出る問いではない、ということです。
使える基準は別にあります。眠れているか、学校に行けているか、やろうと決めたことに手をつけられているか。ここが崩れていないなら、我慢の量を数える必要はありません。
Q. 友達に話したら冗談にされました。
まじめに聞くのが気まずくて、笑いで返す人はよくいます。話した側にだけ、言わなければよかったという感覚が残るのがつらいところです。
次に話す相手は、その場のノリで返さない人を選べます。保健室の先生やスクールカウンセラーは、この種の相談を仕事として受けている人たちです。同じ話を、笑われない場所でもう一度できます。
Q. 親や学校に知られずに相談できますか。
ユースクリニックのカウンセリングは、1回20分・100円で、ニックネームで予約できます。保険証や学生証などの身分証明書はいりません。本人の同意なく、親や学校へ連絡することは原則ありません。
学校の保健室に話す場合は、扱いが学校ごとに違います。話し始める前に「これは先生のところで止めてほしい」と伝えておけば、どこまで共有されるかをその場で確かめられます。
性欲の強さに戸惑っている10代へ
思春期に性的な欲求が生じるのは性ホルモンのはたらきで、保健の学習でも「個人差はあるものの、性衝動が生じる」と扱われている変化です。
学校や勉強や睡眠に実害が続いている、やめようと決めても繰り返す、自分や誰かを傷つけそうで怖いと感じている。どれかが続いているなら、児童精神科や思春期外来、学校の保健室が行き先です。自己判断せず医師の個別評価を受けてください。
誰にも言えないまま考え続けているなら、ユースクリニック Produced byペアライフのカウンセリングも使えます。10代から20歳までが対象です。1回20分・100円で、追加料金はかかりません。ニックネームで予約でき、保険証もいりません。完全個室で話せます。本人の同意なく、親や学校へ連絡することは原則ありません。
ユースクリニック Produced byペアライフは、性のことで感じている不安や戸惑いを聞くカウンセリングの窓口です。話を整理して、必要なときは医療機関や学校の相談先につなぎます。
100円
1回のカウンセリング料金(20分)
ニックネーム可
保険証なしで相談できる
この記事のポイント
- 思春期に性的な欲求が生じるのは性ホルモンのはたらきです。保健の学習では「性衝動」という言葉で扱われ、「個人差はあるものの」と書かれています
- 強さの合格ラインを示す数字はありません。比べて判定する方法がないので、基準は生活に実害が出ているかどうかに置きます
- 睡眠の目安は小学生が9〜12時間、中学・高校生が8〜10時間です。ただし、生活を整えると性欲が下がるとは、確認した範囲の公的な資料に書かれていません
- 気持ちが起きるだけでは罰の対象になりません。2023年7月13日施行の改正で、16歳未満との性的行為や、性的な姿をひそかに撮る行為に線が引かれました
- 学校や勉強や睡眠に実害が続く、繰り返してしまう、自分や誰かを傷つけそうで怖い。どれかが続くときは児童精神科や思春期外来、保健室が相談先です
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ペアライフクリニックの実績
性感染症学会・感染症学会 所属医師 15名
性の健康カウンセラー 3名
思春期保健相談士 1名
LGBT基礎理解検定初級 1名
ペアライフクリニックがこの記事の監修を行っています。